静岡県でバスの中に3歳の園児が取り残され死亡した事故を受け、来年度から通園バスに安全装置の設置を義務付けられます。そんな中、富山県内の男性が置き去りを防ぐためのアプリを開発しました。子どもの命を守りたい、父親として願いが原動力です。
記者:
「バスに園児が置き去りにならないよう開発されたのがこのアプリ、まもるです」
バス運行管理アプリ「まもる」。無料で導入することができる、アイフォーン専用アプリです。これまでに140件以上ダウンロードされています。
制作したのは、業務用のシステム開発会社を経営する林和幸さんです。名古屋にいる知人と共同で普段なら1か月かかる制作作業を1週間で終えました。
合同会社Noop 林和幸社長:
「このアプリが広がることで子どもの命が守られるのではないかと思ったので急いで開発しました」
きっかけは先月、静岡で起きたバスに園児が取り残され死亡した事故。バスから園児を降ろす際、ドライバーが車内の確認を怠っていたことでした。
合同会社Noop 林和幸社長:
「私も子どもが2人いて、いまは小学生なんですけど、幼稚園のときはバス通園をしていたので、他人ごととはとても思えなくて、なにか私にできることはないかなと思ったことがきっかけです」
それでは、このアプリ「まもる」はどのように使うのか。利用者は幼稚園関係者やドライバーを想定しています。
合同会社Noop 林和幸社長:
「運転手の方は、まずどの車両に乗るか、号車を選んでいただいて、そのあとに運転する時間の目安となるタイマーの時間を選んでいただきます」
時間の設定は幼稚園を出発してからすべての園児の迎えを終え降車させるまでです。
合同会社Noop 林和幸社長:
「タイマーの時間を選んでいただいたら『出発する』を押して開始となります」
園児を幼稚園まで送り終えると、ドライバーにはある作業が発生します。
合同会社Noop 林和幸社長:
「ここからがこのアプリの肝なんです」
車内の後部座席に移動する林さん。
合同会社Noop 林和幸社長:
「後部座席まできて、写真を撮っていただきます。写真を撮って『完了をする』を押していただくと運転記録が残るようになります。これで園の管理者の方とドライバーの方全員が確認できるようになります」
これには大人が後部座席に移動することで、もし子どもが座席にいれば自然に目に入り、置き去りを防げるという行動を管理する狙いがあります。
また、大人の「サボリ」を防止するシステムも…。
合同会社Noop 林和幸社長:
「このアプリでは、写真は必ずカメラで毎回撮影しなければいけないようになっていて、端末に保存してある過去の写真は使えないようになっています」
また、出発時に設定した時間内でこれらの操作を終えていない場合は園の関係者に通知がきます。アプリにより大人の行動を管理し、複数人で情報を共有することで園児の置き去りを防ぐシステムとなっているのです。
合同会社Noop 林和幸社長:
「これは無料できょうから使えるアプリということで開発しました。ですので、いろんな施設の方に、できるだけ多くの方に使っていただいて、子どもの命を守るために役立てていただきたいと思っています」
子どもの命を守りたい、父親の思いが込められたこのアプリ。今後、同様の悲劇が起きないことを林さんは願っています。