富山県南砺市の木彫りで知られる町に巨大なウイスキーの熟成庫が完成しました。全国の蒸留所から買い付けた原酒を熟成し、3年後の販売をめざします。国産ウイスキーで世界に挑む2人を追いました。
今、世界中で一大ブームを巻き起こしているジャパニーズウイスキー。

オークション:
「カンッ!680万円!」
海外オークションではことし6月、サントリーが100本限定で発売した「山崎55年」が1本60万ドル、およそ8100万円で落札。

輸出額は2年連続で酒類のトップに輝き蒸留所の数も8年で7倍に増えています。

この人気をブームで終わらせまいと立ち上がった2人がいました。
下野孔明さん:
「日本を代表するお酒は日本酒ではなくウイスキー」
稲垣貴彦さん:
「人生を賭けて取り組める仕事なのかなと」
木彫りの町として知られる富山県南砺市の井波地域です。半年前、この町で巨大なウイスキー熟成庫の建設が行われていました。

取り組んでいるのは砺波市の若鶴酒造5代目、稲垣貴彦さんと、ウイスキープロフェッショナルの資格を持つ、ウイスキー通販専門店「モルトヤマ」の下野孔明さんです。
2人が目指すのは、熟成庫を使った日本初のウイスキーボトラーズです。
若鶴酒造5代目 稲垣貴彦さん:
「ボトラーズがあることによってこんなに面白い未来があるよってことをみんなに知ってもらうのが大事じゃないかなと」

ボトラーズは、ウイスキーの本場、スコットランドで主流の販売形態です。
通常、ウイスキーは蒸留所が原酒の熟成から瓶詰めまで手がけ、完成品は「オフィシャルボトル」として販売されます。

ボトラーズは消費者にとって商品の選択肢が増えるメリットがありますが、蒸留所にもメリットがあります。
ウイスキー通販専門店「モルトヤマ」
下野孔明さん:
「(ウイスキーの)製造というのはとても資金が必要なんです。大きな資金が必要で、さらに商品をつくってから熟成させてから売らなければいけないのでどうしても資金繰りが悪くなる。ボトラーズという存在があればつくった段階のニューポットと言われるウイスキーの赤ちゃんを買い取って、その時にお金を払うことによってつくった段階でお金が入ってくる。蒸留所にとってはそういうメリットがあります」

去年の国産ウイスキーの輸出額は461億円で、2年連続の酒類トップです。
また、国内の蒸留所の数は2014年の時点で9か所でしたが、現在は建設中のものも含めて65か所に増加。8年で7倍に増えています。

ボトラーズでは、こうした国産ウイスキーの人気を一過性のブームで終わらせず、世界に誇る産業に高めようというのです。
特別に、建設中の熟成庫に入らせてもらいました。