台風10号は、1日には「熱帯低気圧」に変わりました。最盛期を過ぎた台風は「温帯低気圧」になったり、「熱帯低気圧」になったりします。どうして?何が、どう違う?変化しても気を付けなければいけない?専門家にきくと…

■台風

 海面水温が高い熱帯の海上で上昇気流が発生し、この気流によって次々と発生した積乱雲が数多くまとまって渦を形成。その渦の中心付近の気圧が下がってさらに発達し、熱帯低気圧になる。そして、風速が17 m/sを超えると台風に。台風は赤道付近の海上で多く発生する。

最盛期の台風(気象庁HPより)

台風は、海面水温が熱帯よりも低い日本付近に来ると海からの水蒸気の供給が減少し、熱帯低気圧や温帯低気圧に変わる。

衰弱期の台風 (気象庁HPより)

最盛期を過ぎると2通りの低気圧へと変わる台風
なぜ?どうして?注意する点は?

台風10号はあさって1日にも「熱帯低気圧」になるとみられている。
最盛期を過ぎた台風は「熱帯低気圧」や「温帯低気圧」へと変化する。どうして?何が違う?変わっても注意が必要?日本気象協会に聞いてみた。

■温帯低気圧化

 台風に北からの相対的に冷たい空気の影響が加わると、円のような対象構造が崩れて寒気と暖気の境界となる前線を伴った温帯低気圧へと変化する。台風が温帯低気圧になったことで再び発達を始めることもある

また、温帯低気圧は一般的に中心付近の風速は台風より小さいものの、台風よりも広い範囲に強い風や雨をもたらすことが多い。台風が温帯低気圧に変われば安心というイメージもあるかもしれないが、ケースバイケースであることは覚えておきたい」

温帯低気圧に変わるのは「秋」の台風が多い。

温帯低気圧化 「気象衛星」と「天気図」で見ると…

<2017年台風21号の事例>

※この段階では典型的な台風の構造(台風の渦の北側の帯状の雲は秋雨前線)

※この段階では、台風の構造が崩れ始めているものの、中心付近の渦は保っている

※温帯低気圧化直前。台風の南側に寒冷前線が形成される。中心の渦巻きの形はほぼ無くなる。

※帯低気圧化。台風の中心から南に寒冷前線が、北東側に温暖前線が延びる。中心の渦巻きの形が無くなり、温帯低気圧の特徴である雲の北縁が大きく北側へと膨れるバルジ(「膨らみ」の意味)状の雲+前線の雲という構造になる。(フック型の構造になることもある)