夏ごろに海への放出が計画される福島第一原発の処理水について、西村経済産業大臣は11日、福島県内の漁業者と面会しました。西村大臣は、処理水の安全性を訴えましたが、漁業関係者は従来通り反対の立場を示し、議論は平行線をたどりました。
西村経産大臣は11日、福島県いわき市で県漁連の野崎哲会長など漁業関係者と面会しました。野崎会長は冒頭「基本的に処理水の海洋放出には反対という立ち位置」と改めて反対の立場を示しました。
これに対し西村大臣は「廃炉と福島の復興を進めるためには、処理水の処分は避けては通れない課題である」と話し、7月4日に提出されたIAEAの報告書や原子力規制委員会の検査について説明しました。
面会は、冒頭以外非公開で行われましたが、漁業関係者から「販路の開拓に力を入れてほしい」「消費者へ安全性についてさらに説明をしてほしい」といった要望が出たということです。
処理水について政府は、夏ごろまでに海への放出を目指していますが、「関係者の理解なしにいかなる処分も行わない」と県内の漁業関係者と約束を交わしています。面会後に取材に応じた西村大臣は、「漁業関係者との約束は守る」と強調したうえで「理解は進んだか」との質問に対しては、明言を避けました。