「関係者の理解なしに放出しない」の“関係者”とは
焦点の1つとなっている「関係者の理解なしにいかなる放出もしない」という約束について、西村大臣が何を語ったのか。見ていきます。
まず、約束について、「方針を順守する」と改めて述べました。その上で、漁業者が「生業を継続できるよう国が責任を持って取り組んでいく」としました。

これに対し、県漁連は、「反対の立ち位置に変わりはない」と、従来の姿勢を改めて伝えました。

放出の時期については、「夏ごろ」としてきた方針に「変わりはない」としながらも、具体的には、「まだ決めているわけではない」としました。
では、この「関係者」とは誰を指すのか。これについて西村大臣は、「一概には申し上げにくい」としながらも「漁業者のみなさんは関係者だと思っている」と話しました。

ただ、処理水の放出で影響を受けるのは、漁業者に限りませんし、本来、漁業者だけの判断で、放出が決まるものでもありません。
ここまでの流れを見てみますと、やはり設備の準備が先行し、最も重要な「理解」が、遅れている印象は否めません。国と東電には、時期ありきではなく、幅広い、ていねいな説明を求めたいと思います。
▼処理水 福島の葛藤
処理水の海洋放出に向け、準備が大詰めを迎えていますが、関係者の理解や風評への懸念など、課題は残ったままです。TUFでは、処理水をめぐる課題や現状をシリーズでお伝えしています。