自らの運転で患者のもとへ 1日100キロ走行も
診療に向かう手段は、自らの運転です。
本田医師「1日10件くらい回って、フルに働くと走行距離が100キロを超えることもある。それなりに神経を使うところはある」
この日訪ねたのは、村に1人で暮らす岡本易さん(87)。脳梗塞を患った経験があります。

本田医師「問題は血糖と腎臓だな、きょうは高いかもしれないな」
岡本さん「高いな、上がっちゃっているな」
震災後、村に戻ってきた岡本さん。本田医師の診察は欠かせません。
岡本さん「血糖値のせいなんでしょうね、たまに気を失うんですよ。そういうことを本田先生がすごく心配してくれて、飯舘に来たからこそああいう先生に会えた」
本田医師が勤める村でただ一つの診療所「いいたてクリニック」は、火曜と木曜に外来を行っていて、それ以外の日や急患が出た際は、本田医師が患者のもとへ駆けつけます。

しかし、入院や救急搬送は、村外の病院に頼らざるを得ません。
本田医師「患者を触ってあげたり、音を聞いてあげたりして見えてくることもあるし、患者さんにも信頼していただける」
患者と直接じっくり話すことが、本田医師のポリシーです。84歳の草野シゲ子さんは、重度の障害を持つ息子を支えながら暮らしています。
草野さん「あまりしょっぱいのは…」
本田医師「しょっぱいのは食べちゃダメ。でもおいしい漬物作るじゃん。それはお客様のためか」
草野さん「そう、だからあまりしょっぱくなく作るから」
本田医師「そうかそうか」
本田医師と患者の信頼関係が見えた場面が取材中にありました。
