エンジニアを目指して技術を磨く学生たちが、いま、本物の飛行機づくりに挑戦しています。
スタートから半年が経ち、学生たちの飛行機がいよいよその姿を現しました。
エアレースパイロット・室屋義秀さん「(学生が)機体を組み立てて、人が乗って飛ぶものを作るのは日本で初めて。」
飛行機の製作が始まったのは去年の9月。
学生たちのサポーターは、エアレースパイロットの室屋義秀さんです。

飛行機を作っているのは、福島県南相馬市にある県立テクノアカデミー浜です。厳しい安全管理が求められる飛行機作りを通して、ものづくりのプロを育てるのがねらいです。

学生たちの目標は「自分たちの飛行機が福島の空を飛ぶこと」。実現すれば、日本初という大きなチャレンジです。
県立テクノアカデミー浜 機械技術科2年・松下慎之介さん「ワクワクと緊張が混じり合っている」
学生たちが作っているのは、ライトスポーツエアクラフトと呼ばれるカテゴリーの飛行機で、従来の小型飛行機と比べて小さくて軽いのが特徴です。

日本ではまだ馴染みがありませんが、アメリカやヨーロッパなど航空先進国では法制化が進み、市場は年々拡大するなど成長産業として期待されています。
学生たちを指導するのは、室屋さんの航空整備士の岡崎利彦さんです。長年飛行機の整備に携わってきたベテランです。
学生がまず取り組んだのは、飛行機の尾翼の製作です。飛行機に使われるアルミニウムの板は、「リベット」と呼ばれる小さな金属を専用の工具で押しつぶして部品を固定します。

学生達のリーダーは、機械技術科2年生の松下慎之介さんです。松下さんは、福島市内の高校を卒業後、技術者を目指してテクノアカデミーに入学しました。

松下さん「(技術者は)かっこいい。自分を追い詰めて追い詰めて、わからないことをわかるようになることが一番楽しい」
松下さんは、飛行機作り成功のカギをにぎる「リベット」について研究を続けていました。

松下さん「リベットは二度打ちができない。なぜできないのか調べていました。」
金属は強い力がかかると変形してより硬くなる性質があるため、二度打ち=打ち直しができなくなります。松下さんは飛行機製作をきっかけに金属の性質について深く学び始めました。
松下さん「飛行機を作るだけじゃなくて、なんでこうなっているのかなって考えながら、そういう原理が起こっているんだと頭に入れておくといいと思う」