今年3月に発生した最大震度6強の福島県沖地震で大きな被害を受けた、相馬市にある旅館のいまを取材しました。
井上和樹アナウンサー「最大震度6強を観測した相馬市の松川浦に来ています。こちらの石蔵は、地震で崩れたままとなっています。このように地震から9か月経ったんですが、手つかずのままとなっている場所が多い、そんな印象を受けます」

3月の地震による建物の被害は浜通りでは相馬市が最も大きく、全壊が41棟、半壊が1272棟、一部損壊は3919棟に上りました。

そして、市内で最も深刻な被害を受けたのが、松川浦地区を中心とする観光業です。
市の観光協会によりますと、松川浦とその周辺地区の旅館や民宿22軒のうち、現在も15軒が休業しています。
そのうちの一つ創業70年の老舗旅館「いさみや」。

地震から9か月経った今も休業中で、建物には地震の爪痕が今なお残っていました。

旅館いさみや若旦那・管野功さん「外が見える状態で雨とかも入ってきちゃうのでとりあえず養生でふさいでいる」
Q.今年3月の状態のまま?「そうですね、手つかずです。」

多くの客室で雨漏りや窓が割れるなどの被害があり、再開の見通しは立たないということです。
管野功さん「厳しいですよね、客室は旅館にとって商売道具ですからね。こんな状態になってショックでした」
営業を再開するための工事に踏み切れない大きな要因として、補助金申請の煩雑さがあると管野さんは話します。
管野功さん「(申請には)色々な資料が必要なのでそこであきらめてしまう人もいる。補助金の対象ではないところまで直してしまったから(補助金が)出ないよとか言われるのが困っている」