福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える『老舗物語』。今回は猪苗代町で80年以上続く精肉店です。会津地方ゆかりのお肉を全国へ届けようと奮闘する3代目を特集します。

猪苗代町の県道7号沿いに佇む、白と黒を基調としたこちらのお店。中に入ってみると、ドライフラワーなどのおしゃれなインテリアが。ここは一体?

--大久保直哉さん(3代目)「こちらは馬刺しがメインの精肉店になります。会津地方は馬刺しを食べる文化がありますので、それを中心に扱っております。」

実は馬肉をメインに扱う精肉店『肉のおおくぼ』。今の時期は馬肉だけで9種類ほどの部位が店頭に並びます。

--大久保直哉さん(3代目)「仕入れ業者さんの方で馬肉のグレードをつけているんですけど、それの上位のもののみを仕入れております。」

そんなお店の一番人気は『馬刺しのロース』。うま味が非常に強く、柔らかいのが特徴です。

醤油にからし味噌を溶いたタレで食べるのが会津地方流。タレのピリ辛さが、ロースの甘みとうま味を存分に引き立てます。

さらに、精肉店ならではの希少部位も。

--大久保直哉さん(3代目)「“ふたえご”はお腹のバラの部分ですね。脂と赤身が2層になっているので、脂と赤身を同時にお召し上がりいただけます。個人的には一番好きな部位ですね。」

そんなお店には県外からもお客さんが。

--長野県からのお客さん「こんなにいっぱい(馬肉の)種類あるの、見たことなかったです。」

--秋田県・岩手県からのお客さん「ネットでも取り寄せて買うんですけど、福島に来るとここは必ず寄っています。今日は日本酒で馬刺しです。」

全国から注目される肉のおおくぼは、昭和初期に創業。初代の大久保トミさんが肉を背負って販売していたのが始まりです。

そして8年前、婿養子の直哉さんが3代目としてお店を引き継ぎました。

--大久保直哉さん(3代目)「元々は違うお仕事をする予定だったんですけれども、急に人手が足りなくなってしまって。(前職が)包丁も持ったことがないような仕事だったので、まずは鶏もも・鶏むねの違いから入りまして。ゼロからなんで吸収は早かったかなと思います。」

実は直也さんが継いだ当初、今とは違う場所にお店が。地域に愛された面影が今も残っています。

--大久保直哉さん(3代目)「震災があって建物にもダメージが。旧店舗が昔ながらの精肉店という感じだったので、今回はお肉屋さんぽくもなく、おしゃれで清潔感のあるお店を目指しました。

そんなリニューアルした店内には、昔から変わらない商品も。