福島県葛尾村や田村市など、4つの市町村にまたがる国内最大規模の風力発電所「阿武隈風力発電所」の運転が始まりました。原発事故の被災地からの再生可能エネルギーの供給として、注目を集めています。

吾妻康弘記者「阿武隈の山並みに連なる風力発電の数は46基。ブレードと呼ばれる羽根の部分だけでも長さは50メートルあまりあります」

阿武隈風力発電所は、住友商事など県の内外9社の共同出資で建設されました。3日は、葛尾村に関係者など120人あまりが集まり、神事が行われ、玉ぐしを捧げて発電所としての安全運転を祈りました。

この発電所は田村市、浪江町、葛尾村そして大熊町に、あわせて46基の風力発電設備をつくり、ひとつの陸上風力発電所としてとらえれば国内で最大です。阿武隈の山並みに吹く強い風で電力を生みだし、年間およそ12万世帯分の電力の供給が可能です。そして、電力販売で得られた収入の一部は、被災地の市町村の復興資金にあてられます。

3日は、県や4つの市町村の関係者がテープにはさみを入れ、運転開始を祝いました。

福島復興風力合同会社・平野貴之代表「これから20年、もしくはそれ以上25年、30年としっかりと運転できるようメンテナンス、点検をしっかり行い、また地域の皆様のご協力もいただいて末永く運転できる発電所にしたい」

この風力発電所ができたことで、葛尾村では今年3月に一部の避難指示が解除されるなど復興につながるきっかけとなっています。

葛尾村・篠木弘村長「震災から14年が経過、そういう中で再生可能エネルギーがこの地で始まったことは非常に感慨深いと認識している」

田村市・白石高司市長「観光として情報を発信しながら、多くの方々にこの地に来ていただく。そして復興の歩みもしっかり見て頂く。そういうことが私たちは復興の一助になると考えている」

すでに4月から運転を始め、電力を供給していて、雇用の面や観光資源としても期待が寄せられています。