福島県内で長く愛されている老舗の今を伝える「老舗物語」。

ゴツゴツとした根っこ。そして複雑に曲がりくねった幹の曲線美。きれいに揃った葉。長い時間をかけ、厳しい自然環境の中で育ったような力強い美しさを、鉢の中で表現する盆栽。福島市在庭坂でその盆栽を長年育てて販売している、『泰寿園』。ここに広がる緑は全て盆栽です。

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「庭にあるものと、あと畑にあるものを合わせると1000点以上はあるかと思います。こちらで言いますと樹齢60年くらいは経っているものになります。」

樹齢が60年を超える貴重なものや、小ぶりで扱いやすい盆栽など1000点以上がずらりと並びます。

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「安いものは数千円から。高いものでいうと、値段をつけられないものもあります。」

3代目・二瓶陽介さん。

4年前に会社員を辞め、祖父の代から60年以上続くこの盆栽園の跡を継ぎました。

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「自分が手をかけたことで良くなったときの喜びが一番の魅力かな。」

ひと言で盆栽といっても様々な種類に分かれます。

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「大きく2つに分けられます。こちらが“雑木類”。雑木類は一年中楽しめるところが魅力の一つでもあるんですが、春の新緑ですとか、秋の紅葉。“鶯神楽”は、花も楽しめます。」

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「こちらが“松柏類”。“紀州真柏(樹齢20年)”という品種になりまして、暑さや寒さに強いというところが特徴で、海外の方にも非常に人気の高い品種となっています。」

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「こちらは“吾妻五葉松(樹齢25年)”といいまして、ここ福
島県福島市が産地になっています。日本三大五葉松の一つにも数えられる福島が誇る五葉松です。古くから吾妻連峰の方で自生していたものになります。」

吾妻と名前につく五葉松は福島市が産地で、日本三大五葉松と言われるほど“葉性”つまり葉の形や性質が良いとされ、高い評価を受けています。

立派な盆栽も、元々はひと粒の種から成長したもの。毎年その種を植えて、増やしてきました。

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「松ぼっくりの実をとって、そこから種をとって。この網がかかってるのは3月末あたりに種をまいたものになります。」

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「そしてこちらが、去年同じように種をまいて、まだ1年生っていうところの苗木になります。」

発芽して1年でこの大きさ。

そして10年経ってもまだこの大きさなのです。立派な盆栽にするためには長い年月がかかるのがよくわかります。

その成長過程で行う作業が・・・。

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「これが盆栽のスタートになるんですけど、(針金を使い)幹を曲げることによって、樹形を作ってあげるっていう作業になります。」

この苗をまた畑に植え、成長してきたらまた形づくる。この作業を繰り返します。日本の伝統芸術とも言える盆栽。海外からの評価が高まり、今や世界的なブームともなっていますが、二瓶さんは愛好家だけではなく、もっと幅広い世代に楽しんでほしいと言います。

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「見る楽しみ、それと自分で作る楽しみ。若い方も趣味として楽しんでいただいていると思います。」

なん十年という大きな盆栽ではなく、小さな小品盆栽。さらに小さなミニ盆栽など、手軽に盆栽を始められるような商品も多く取り揃えています。

--二瓶陽介さん(泰寿園3代目)「盆栽は手入れをしていけば、なん十年も育てていくことができますので、その育てた盆栽を次の世代の方につないでいただいて、育てていければとてもうれしいことだなと思います。」

まだまだ自分は新米という二瓶さんも、盆栽に情熱を注ぎ、吾妻五葉松をこれからも様々なスタイルで多くの人に届けます。

『ステップ』
福島県内にて月~金曜日 夕方6時15分~放送中
(2025年4月10日放送回より)