こちらの見慣れない道具は「うるし掻きカンナ」と呼ばれるものです。

実は、この道具を作ることができる職人は国内で2人しかいないんです。
そのうちの一人、福島県いわき市にいる鍛冶職人を取材しました。
鈴木康人さん(62)は、主に包丁などを作る「刃物鍛冶」です。
窯の中の温度は約800℃。

50℃にもなる窯の前に座り続け、鉄の状態を見極めます。

鈴木康人さん「自分が作りたい物、形を作る。あとはたたいている時に鉄がどっちにのびていくか、あまり自分の技術で作りこもうとしないで作るようにしている」

鈴木さんが作る刃物は、荒々しい中にどこか温かみが感じられるのが特徴です。
鈴木さん「とにかく楽しい気持ちで作っているので、使う人よりも楽しい気持ちで使ってもらいたい。それが一番かな」

鈴木さんは、国内で2人しかいない、「うるし掻きカンナ」を作る職人でもあります。
「うるし掻きカンナ」とは、うるしの木から樹液を採るために、木に溝を彫る専用の道具です。

カンナを作る工程は、のばし・曲げ・削りなど20以上にもなり、包丁と比べると複雑で難しくなっています。鈴木さんは、国内のもう一人の職人、青森県の中畑文利さんから技術を教わりました。

鈴木さん「本当に丁寧に教わったので、それを返すつもりで今度自分の下に続く人たちにバトンを渡したい。ただそれだけです」
