復興の歩みを進める福島県双葉町では、出席者が減ったことから式典の中止が一時検討されましたが、二十歳を迎えた人たちの強い要望でことしも式典が開かれました。

11日に双葉町で開かれた「だるま市」江戸時代から続く双葉の恒例行事です。

【新妻和樹さん】「(ダルマ市には)震災前に来てそれぶり。何十年ぶりですね」

スーツ姿で会場を歩くのは、東京の大学に通う新妻和樹さん。
この日は、役場で行われる「はたちを祝う会」に出席する前にだるま市に立ち寄りました。

【新妻さん】
「町にいるだけで心地よい気分がするというか、ここでこうやって歩いているだけでも懐かしさがあるし居心地の良さがある」

将来は双葉町に戻って教師として働きたいと話す新妻さん。
町の幼稚園に通っていた6歳の時に震災があり、いわき市や東京で20歳までの14年間を過ごしました。
そして11日、双葉町で開かれたはたちを祝う会に出席したのは、新妻さんと同じく小学校に上がる直前に被災した81人のうちの12人。
双葉町では、避難先で過ごした期間が長い若者が増えここ数年、式典への出席者が減っています。
今年度は中止が検討されましたが、開催を望む声が多く寄せられ今回実施されました。
晴れの日を迎えた参加者は、それぞれに思いを巡らせていました。

【仙台市在住・齊藤あづさん】「生まれた場所で成人式を迎えることができてとても嬉しい」

【埼玉県在住・志賀陽織さん】「視野を広く持っていろんな人のことを考えられる大人になりたい」

新妻さんも友人との再会に顔がほころびます。

【新妻さん】「幼稚園の時の同級生と会うことなんてなかったので、成人したことも喜ばしいが、懐かしい面々に会えたことも輪をかけて嬉しい」

そして何より、ふるさとに貢献したいという思いが募る特別な一日になりました。

【新妻さん】「双葉町に対する思いを強く再確認することができて、今後自分も復興の一助になりたいと町民としての責任感を強く感じた節目になりました」