福島県内で長く続く老舗にスポットをあてる『老舗物語』。きょうは1948年創業、3代にわたって自慢のチャーハンを作り続けるいわき市の中華料理店です。一時は閉店を余儀なくされましたが、常連客の「また食べたい」という声で復活を果たしました。
店内に響く中華鍋の音。1人厨房に立ち、鍋を振り続けるのは東孝之さん。いわき市にある東や3代目のオーナーです。
県道26号、通称・鹿島街道から1本入った場所にあるこちらのお店。看板には“炒飯専門店”と書かれています。
--東孝之さん(東や3代目)「炒飯専門店なります。7種類から8種類ぐらいは用意さしております。」
人気No.1の『爆旨えびちり炒飯 極(1230円)』。大ぶりなエビがゴロゴロ入った贅沢なひと品です。海老の香りがふわっと広がり、後からピリ辛さを感じられる至極のチャーハン。
さらに、『秘伝焼肉炒飯(1150円)』も人気メニューの一つ。ニンニクの効いた自家製ダレがクセになるチャーハンで、ガツンと食べたい日におすすめです。
そんなこだわりの詰まった炒飯を食べに、多くのお客さんが来店します。
--お客さん「うまい!」
--お客さん「元気が出るように、にんにく入りの炒飯を頼みました。とってもおいしいです。」
何度も足を運びたくなる美味しさの炒飯。心を込めて作り続ける東さんは、元々料理人の道を考えていなかったといいます。
--東孝之さん(東や3代目)「(店を継ぐとは)全く思ってなくて、子どもの頃は手伝いをしながらいつかやるみたいなことを話してたんですけどね。物心ついて大人になってからは大変そうだなっていうのが身近にあったので。ちょうど大学時代に中退してしまって、“どうしよう”ってなったときに祖父から“一緒に行ってみたらどうだ”って言われたのが、祖父の(出身地である)台湾だったんです。(台湾に行って)今みたいに何もなかった(と聞いた)。そばを茹でる釜から、全部手作りでやったと言っていました。(祖父が)必死で築き上げてきたお店を料理が嫌いではない私が継がないのは勿体ないと思った。“祖父が起こしたお店を残したい”というのが一番ですね。」
戦後まもない1948年、台湾出身の祖父が横浜に『東屋食堂』をオープン。当時はうどんや蕎麦の出前を中心としたお店でした。その後、祖母の故郷いわき市に移り住み、中華料理を学んだ父がお店に加わったことで、町中華と形を変え、家族で守り続けてきました。
しかし、64年続いたお店は突如閉店に。
--東孝之さん(東や3代目)「2022年に母が倒れて商売ができなくなってしまい、お店を売りに出したんですね。」
惜しまれながら閉店した後、あるものが届きました。それが・・・。