福島県内で長く愛されている老舗の今に迫る「老舗物語」。今回紹介するのは創業117年、郡山市の『宝来屋本店』です。失敗をしてもあきらめない。伝統の発酵技術からヒット商品を生み出してきたその歴史に迫ります。
そんな宝来屋が誕生したのは今から100年以上前の1906年。明治時代に初代・柳沼雄太郎さんが始めたのは、発酵食品のもととなる「糀」の販売でした。
事務所の中には、創業した当初から伝わる〝あるモノ″が保管されています。
--柳沼広呂人社長(宝来屋)「これが、初代・柳沼雄太郎氏が明治39年に阿武隈川を渡ってお店を開いたときの『かつぎ棒』になっています。」
現在の郡山駅周辺は、その昔、旅人の疲れを癒す宿場町として繁栄。宿では旅人に漬物などをふるまうため、周辺の糀屋からよく糀を購入していたといいます。
--柳沼広呂人社長(宝来屋)「往来する旅人たちの旅籠が、たくさん郡山と本宮にあったという話を聞いて。そこに初代と2代目の社長が糀漬けの漬物を宿場町に売っていたのがスタートと聞いております。」
当時はまだ近くの阿武隈川に橋が架かっていなかったため、初代の雄太郎さんは「かつぎ棒」をかついで渡り船に乗り、川の向こうの宿まで自家製の「糀」を運んでいました。郡山駅周辺が宿場町から現在の姿に変化していくと同時に、宝来屋の商品の販売方法も変わっていきます。