「ここがあって幸せ」村民つなぐ場所に

葛尾村には、食堂がオープンしていますが、午後6時半以降、食事を提供する飲食店はありませんでした。

渡辺さん「何回も誘われてすごく熱く誘われたので、もちろん自分も葛尾村が好きですし、地元なので困っている人がいるのを聞いてやってもいいかなと思った」

村に再び、よりどころを。店の再開を決意しました。

この日、訪れたのは、村の交流施設です。仕入れたのは、村で収穫されたハクサイやシイタケなど。地元の食材を使うことを心がけています。

渡辺さん「農家にも少しでも作る楽しみを、うちの野菜を店で出しているというのを広げてもらえればいいなと」

渡辺さんの店は、村内の宿泊施設にあります。自慢は、村内で育てられた鶏を使った串料理。およそ30品の料理で客をもてなします。

午後5時。「御食事処政」、開店です。

村に暮らす女性は、この日、埼玉に避難した友人と13年ぶりに再会しました。

村民の女性「偶然、昼間に会ったんですよ、13年ぶりです。最高です、こういう場があれば村外からも帰って来る人が多くなるので」
埼玉に避難した村民「私も何回も葛尾村に泊まったが、こういうところがなかったから、自分で食事を買ってきて部屋で飲んでいた。ここがあるといいよね」

店は、「村民をつなぐ場所」でした。昔の店の、常連客たちも足を運びます。

村民「やっと戻って来たなという気持ち。こういう雰囲気のところが村内にひとつでもあってすごく幸せです」

一度は、夜の明かりが消えた葛尾村ですが、「御食事処政」は村に、にぎわいを灯し続けます。

渡辺さん「葛尾村に住んでいて楽しいなと思ってもらうために、ここでおいしい料理を出せればと思います」