記憶の風化が進む中、今年は能登半島地震が起きるなど、震災以降も各地で災害が相次いでいます。災害の教訓を伝える重要性は年々増していますが、いま、福島県内の伝承施設では難しい運営を強いられています。

津波の爪痕が今も残る、福島県浪江町の請戸小学校。震災の記憶と教訓を後世に伝える県内唯一の震災遺構として、2021年10月に一般公開されました。

浪江町生涯学習課・渡邊祐典さん「2階のベランダに青い看板があって、横に白い線が引いてある。あの高さが津波の高さになります」

町の職員で、施設の管理を担う渡邊祐典さん。この日は、岩手県一関市から来た団体に、津波の被害の大きさや避難の大切さを伝えていました。

請戸小学校が震災遺構として一般公開されてから、およそ2年半。当初、年間3万人の来館を目標にしていましたが、教育旅行や防災研修など県内外から多くの人が訪れていて、今年度は目標の倍の6万人の来館を見込んでいます。順調に運営しているようにも見えますが、いま、大きな課題に直面しています。

渡邊さん「人件費や維持運営費、消耗品費などがあって結果としては「赤字運営」という形になっている」