■「原始的歩行中枢」を刺激する

足こぎ車いすは、東北大学の研究から生まれました。開発者で仙台クローバークリニックの半田康延医師です。

仙台クローバークリニック 半田康延医師:
「もともと私は手足がマヒした患者さん、特に脊髄損傷といって下半身マヒとか首から下がまったく動かない人の手足をなんとかして動かせないかという研究をやっていたんですよ」


20年ほど前、東北大で歩行が困難な人のリハビリについて研究をしていた半田医師は、人間が持つ「反射」に注目しました。

半田康延医師:
「原始歩行というんですが、赤ちゃんを抱きあげておいて、足を地面につけてちょっと前に押すと歩くんです。実際にはするはずないんですが、そういうのがあって脊髄のなかに原始的な歩行をするような回路があるということに目が行った」


これを応用して作られたのがコギーです。通常、人が歩くときには脳からの信号が脊髄を通って足を動かしています。しかし、足の不自由な人がコギーのペダルに右足をのせ、前に踏み出すと、この動きが「原始的歩行中枢」を刺激。左足が反射的に動くことで前に進んでいきます。つまり、片方の足が少しでも動かせれば、マヒしている側の足も動かすことができるのです。