8月、九州地方を襲った豪雨で被災した人たちに使ってもらおうと軽乗用車1台が、宮城県石巻市の団体に寄付されました。
寄付をした男性は、車の元々の持ち主で、2年前に亡くなった息子の遺志を尊重したと話しています。

宮城県石巻市の日本カーシェアリング協会に軽乗用車を寄付したのは、宮城県登米市迫町の梁川政宏さん(72)です。

車は、2018年に三男の遣介さんが購入したものです。
畜産関係の仕事をして、釣りが趣味だったという遣介さんは、2023年、突然の病で39歳の若さで亡くなりました。

「人のために役立つことが好きだった」という遺志を尊重し、車の寄付を決めました。

梁川政宏さん:
「妻も喜んでもらえたし、息子の気持ちも一番大事にできるのではないかと思い、今回の寄付を決めた。自分よりも困っている人に少しでも役に立てるのであればうれしい」

8月8日以降、九州各地では線状降水帯の発生が相次ぎ、記録的な大雨で多くの車も水没しました。

カーシェアリング協会は、鹿児島や熊本県など5カ所に拠点を設け、被災した人や支援団体に、車を無償で貸し出す事業を始めました。

これまでに2000件を超す申し込みがあり、必要な車両は400台ほど不足しています。

日本カーシェアリング協会 伊東直人サブマネージャー:
「(現地では)普段の通勤や買い物、生活の基盤となるところで車を利用している人が多い。いま(寄付で)90台ほどの車が集まっているが、残り400台ほどが足りていない」

今回寄付された軽乗用車は、名義変更と点検の後、10月上旬に熊本市に運ばれ、支援車両として活用されます。