冬の渡り鳥、オオハクチョウの飛行ルートなどを追跡する生態調査が去年12月から始まっています。オオハクチョウには、GPSやカメラが装着されていてほぼリアルタイムで画像を確認できる調査は、国内初だということです。

オオハクチョウに装着されたカメラの画像。

20日午前7時に青森県六ヶ所村の沼で撮影されたもので、北帰行の途中、羽を休めていたと見られます。

調査は、オオハクチョウの飛行ルートやねぐらの環境などを研究しようと、県伊豆沼・内沼環境保全財団が、中国の送信機メーカーなどと一緒に国際共同プロジェクトとして行っているものです。

県伊豆沼・内沼環境保全財団 嶋田哲郎研究室長:
「毎日午前9時になると、その日の午前7時と午前9時の画像が届く。これはナツキという愛称のハクチョウが撮った写真。位置情報と画像が一日4時間おきにデータが取得できる」

財団によりますと、去年12月にカメラ2台とGPS端末がセットになった首輪をオオハクチョウ10羽に装着しました。

カメラの画像には、羽根を大きく広げて岩手県の上空を飛ぶ姿や、田んぼでエサを食べる様子。上空から見下ろした田んぼなど、これまでにないハクチョウ目線の光景が写っていました。

財団では、今回のプロジェクトでオオハクチョウの生態に関する研究がさらに進むと期待を寄せています。

県伊豆沼・内沼環境保全財団 嶋田哲郎研究室長:
「ハクチョウが見ている風景を見ることによって、何をしているのか、どのような環境にいるのか、ほかに個体間の関係があるのか、そのようなことがより見えてくるのは非常に興味深い」

GPSでの追跡調査はこれまでも行われていましたが、カメラも装着してほぼリアルタイムでオオハクチョウの様子を確認する調査は国内では初めてだということです。

財団によりますと、カメラとGPSを装着した10羽は、1月18日から2月5日までに全て伊豆沼を飛び立ち、20日現在、北海道に1羽、青森県に5羽、岩手県に4羽、それぞれ北上しているのが確認されています。財団の嶋田さんは、22日午後7時から南三陸町自然環境活用センターで講演会を開き、今回のプロジェクトについて報告するということです。