児童に事前指導、ガイドと意思疎通を

山を歩く前の教育も欠かせない。児童に「道に迷わないためにはどうしたらいいか」と尋ねると、大抵は「頑張って前の人についていく」と答えるが、正解ではない。「ガイドさん、待ってください」「遅れている友達がいるからみんなで待とう」と声を掛け合うよう児童に教えておくことで、ガイドと教員は集団を統率しやすくなり、安全なハイキングにつながる。保護者へも山のリスクと集団行動のルールを説明し、家庭で話し合ってもらうことで、児童の安全意識はさらに高まる。「学校は行事を計画する以上、児童への事前指導も含めて教育だと認識してほしい」


自然体験学習は学校から委託を受けた団体が計画を立てるケースもあるが、今回は学校側が計画し、あらかじめ「ガイドは3人」と決めていた。旅行会社を通じて西豊田小のガイドを請け負った団体の代表は「150人に3人では少なすぎる」と旅行会社に再考を促したというが、ガイド側の危機感は、学校へ伝わっていなかったようだ。

西豊田小の宮川力校長は「ガイド側から3人では少ないと言われたかどうかは把握していない。3人で十分と判断した学校側に責任がある。事前にガイドと、下山の注意点や引率者の役割分担を共有しておくべきだった」と釈明した。

旅行会社とガイドにとって、学校は「お客さん」の立場。村越教授は「学校が主導するなら、教員が積極的にガイドの意見を聞くべきだ。児童の一時遭難は、学校側がガイドの知見と力量を十分に活用できなかった結果起こったといえる」と指摘する。

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