「正直、乗りっぱなしは退屈?」

シートはソフトレザー製 左右2席ずつでなんとなくゆったりしている印象

そもそも、FDAがこの乗り放題旅を始めたのは、2021年3月。広報部によると「コロナ禍で思い通りに運航ができない中、何とか、1人でも飛行機に乗ってもらいたい」という社員の声から生まれたという。これが予想外の反響を呼ぶ。不定期での開催にもかかわらず、回を追うごとに参加者が増え、気づけば、数十人規模の予約が入り、今回、第9弾の開催となった。広報部の石井俊さんは「正直、乗りっぱなしという方もいて、退屈なのではないか、と思っていたが、純粋に空の旅を楽しんで、いただけているのがうれしかった。飛行機が移動手段から、搭乗するというひとつのエンターテインメントになった」と話す。

リピーター続出!「新しい旅のあり方」

松本空港離陸直後 窓の外では富士山と諏訪湖(手前)の競演

ユーザーにも聞いてみた。「飛行機に乗ることが好きなので、コロナ禍で打撃を受ける航空業界を応援したかった」と語るのは、愛知県在住のもぐ@morning gloryさん。「北海道から九州まで日本全国を1泊2日のうちに回れる旅はない」とすでに5回参加。乗りっぱなしの旅にも「観光地を巡るが観光しない、コロナ禍ならではの新しい旅のあり方に出会えた気がする」と語る。

浜名湖も小さく見える 静岡県民にはこの角度は新鮮(奥は太平洋)


一方、首都圏在住のLYCEEさんは「FDAのサービスとホスピタリティーが心地よい」という。「ある便で乗客が少なかった時、FA(客室乗務員)さんから『リクライニングを倒して、広々使ってください』と声をかけられた直後、コックピットからは『狭い機内ではございますが…』とアナウンス。思わず、飲み物を吹き出してしまった」。気づけば、FDAが就航していない地域に住んでいるにもかかわらず、リピーターに。「顔なじみの客室乗務員ができた」というLYCEEさん。この旅ならではの「あるある」だという。