「震災前に戻りたい」失われた家族の命

ごみ袋をまとい当時の様子を再現する米沢さん

しばらくして水は引きましたが、ビルの中はがれきで埋もれ、屋上から下に行くことができず、屋上で一夜を過ごすことに。3月の東北の寒さによる身の危険に襲われましたが、店の商品で屋上に流れついていたごみ袋を身にまとって暖をとりました。一夜を乗り越えたものの、衰弱していく体。

被災者を救済するヘリコプターが飛び交う中、力をふりしぼり屋上に溜まっていた泥で、大きく「SOS」の文字を書いて、自身の存在に気付いてもらい助け出されました。

米沢さんの父・節祐さんと母・静枝さん、弟の忍さん

その後、大船渡市の実家に戻っていた、妻と震災の1か月前に生まれた娘の無事を確認。一方で、失われた命もあります。近隣の市民会館は津波に飲まれ、避難していた父・節祐さんと母・静枝さん、弟の忍さんが亡くなったことがわかったのです。「震災の前の日に戻りたい。震災の日でもいい。みんなで助かりたかった」少しの判断・行動・居場所の違いが生死を分ける、災害による厳しい現実を突き付けられ、しばらく涙が止まらない日々が続きました。