現状を知るのは大切
Q.一般の県民はこの問題にどう対応すればよい?
まず、現状、静岡のどこで目撃されているのか、どこにいるのかを知ることが大切。「ここにクマはいないから大丈夫。俺のところは大丈夫」という認識を持っている人も多いと思うが、もうその状況は変わってきています。住民の方が自分事として知ることが大事ですね。自治体任せにすることが一番良くないですね。
Q.では、自治体には何を求めるべきか?
静岡に関しては、これまで県がクマに関してはやってきたことは、狩猟自粛ぐらい。その状況の中で、県はいま、管理計画を立てこの先5年間でクマの状態をどうしていくか、クマに関する被害をどう低減していくかを考えている最中です。今までやっていなかったことを始めようとしている。今まで生息していないと考えられてきた伊豆でも目撃情報が出てきているなか、非常に大きな一歩だと思います。
一方で、これは静岡だけの問題ではないが、東北も含め全国でこれほど大きな問題になっているのに、なかなか解決法を見出せない理由の一つとして、行政に専門的な知識を持った職員がほとんどいないっていうのが大きな問題なんですね。多くのところは、例えば林業職とかで採用された人がクマの担当になると、当然野生動物の知識はないので、頑張っていただくんですけども、3年ぐらいで異動してしまい、また知識のない職員が担当になる。県庁に専門的な人がいないってことは当然市町村にもいないんですよ。現場で問題が起きても適切な対応が分からないんですよね。そのため、各地で対策が後手に回ってしまっていると思います。
そういう意味では、ぜひ各地に野生動物管理の専門職員を配置して、もう少しきめ細かな対応をしていくべきです。また、研究機関や地元の大学を巻き込んで科学的な管理を行うとかも大切で、やはり今までと同じように管理計画を立てるだけじゃなくて、もう一歩踏み込んだ体制や対応をとることを考えてもいいのかなとは思います。
本来なら毎回事故が起きるたびにじっくり検証する必要があるのですが、やはりこれだけ事故が多くなってしまうと、その検証を行っている余裕がないというのが、現場の方々の率直なところだと思いますね。
Q.クマと遭遇した時のことを考えることも大切?
多くのメディアは最初から「遭遇したらどうすればよいですか?」と聞いてくるけど、正直こっちはうんざりする。大前提として、遭わないように対策をすることが大切。鈴をつけたり気になる果実を早めに収穫しておくこととか。
ただそれでも、やっぱり遭遇してしまうことはあるんですよね。例えば、鈴を持っていても、雨の日とかは音が伝わりにくくて、どうしても鉢合わせしてしまうことがあるので、その時のために遭遇した時にどうするかってことを事前にイメージトレーニングできてるかどうかは大きいと思います。







