自治体への寄付を通じて返礼品を受けられる「ふるさと納税」ですが、仲介サイトのポイント還元が2025年9月末で廃止されます。駆け込み需要が広がる一方、被災地の復旧に向けた支援金としてのニーズも高まっています。

焼津港に水揚げされたミナミマグロ。静岡県焼津市の水産卸会社では、ミナミマグロをふるさと納税の返礼品として全国に届けています。

<キボシ水産 村松崇生社長>
「ミナミマグロの各部位、中トロ、大トロ、赤身をサクやブロックにして出す。ミナミマグロの返礼品を15~16種類取り扱っている」

返礼品の受注状況は9月に入り、前年比で1.5倍ほど増え、月末に向けてさらに増える見通しだということです。

<村松社長>
「うれしい部分はあるけれど、年末の需要が少し早くなっているのかな。駆け込みで焼津市を選んでいただけるのはうれしいと思う」

駆け込みの寄付が増えている背景にあるのは、ポイント還元の廃止です。

総務省は10月から、自治体に対しポイントを付与する仲介サイトの利用を禁止します。買い物などに使えるポイントの還元が9月で廃止されるため、駆け込みでの寄付が急増しているのです。

ふるさと納税の寄付額が2年連続で100億円を超え、県内1位の焼津市。返礼品はミナミマグロを含め、約1650種類と全国有数の規模を誇ります。2024年の同じ時期と比べて寄付の件数、額ともに上回っているといいます。

<焼津市ふるさと納税課 打桐浩之課長>
「駆け込み需要は想定していたので、品切れにならないよう在庫の管理、あとは品質の管理、あとは寄付者さまに不安を与えないよう、配送期日の確認をしっかり対応していきます」

一方で、返礼品もポイントも付かないふるさと納税もあります。

<社会部 鈴木文之記者>
「国内最大級の竜巻被害のあった静岡県牧之原市の現場です。市は、ふるさと納税を活用した災害支援を呼びかけています」

竜巻で被災した静岡県牧之原市では9月6日から12月末まで、ふるさと納税で災害支援金の寄付を受け付けています。集まった寄付は被災者の生活再建や被災した農業施設の支援などに役立てる方針です。

<牧之原市商工企業課 増田真也主任>
「被災者の方々はこれから生活再建に向けて取り組んでいくところ。皆さまからの温かい応援をいただければと思う」

ポイントの付与廃止で多くの人の関心を集めるふるさと納税。地域との寄り添い方を考えるきっかけになっています。