スーパーマーケットに並ぶカットフルーツは便利な一方、工場では多くの生ごみが発生します。その生ごみを堆肥にして、価値の高い野菜を栽培する取り組みが進んでいます。
みずみずしいグレープフルーツやメロンにイチゴ。浜松市を中心に36店舗を構える「遠鉄ストア」です。近年のタイムパフォーマンスいわゆる「タイパ需要」からカットフルーツの人気は高まっています。
<買い物客>
「楽。自分で皮剥かなくて」
<買い物客>
「毎日食べるのに少しずつ毎日買ってる。来るたびに」
ただ、製造の過程で必ず出てしまうのが…
<遠鉄ストアプロセスセンター 吉田晴彦副センター長>
「パイナップルのカットをしているところです。見ての通り、これが全部ごみになっちゃうんですよね」
静岡県内すべての遠鉄ストアで販売するカットフルーツは1日で400キロ。1か月で1.2トンもの切れ端が発生します。産業廃棄物の処理としてこれまで年間約1200万円の費用がかかっていました。
<吉田副センター長>
「産業廃棄物ということでコストもかかるし、従業員の作業も重たい残渣を運ばないといけない」
この問題の解決に向け、2021年から取り組んでいるのが堆肥への再利用です。
<吉田副センター長>
「これが一次発酵物になります」
大量の生ごみはその日のうちに専用の装置を使って分解・発酵させます。そして、委託しているリサイクルセンターへ運び、牛糞などと混ぜることで良質な堆肥に生まれ変わります。
10種類の野菜を栽培して販売する浜松市の「青空農園」では、この堆肥を利用しています。
<青空農園 大西辰幸代表取締役>
「こちらが有機肥料を活用して作ったサニーレタスです。太陽の光と土の力を中心に育てているので野菜本来のうまみや甘味が感じられる」

化学肥料の価格は輸送費の上昇などにより高騰し、ここ数年で1.5倍以上になっています。青空農園の大西さんは化学肥料ではなく有機肥料を使うことで肥料にかかるコストを半分に減らすことができると話します。
堆肥を使って育てた野菜は、より価値の高い「循環農作物」として一部の遠鉄ストアで販売されています。
<遠鉄ストア営業本部 池谷航之介副本部長>
「うちで出た食品残渣が有効に活用できるということであれば肥料化はどんどん進めて、その肥料を使っていただければと思う。リサイクルループの循環型社会が地域でできるということは非常に大事なことで、今後にもつながっていくと思うので常に意識してやっていきたい」
この取り組みは循環型社会の形成を推進しているとして、浜松市から表彰されました。