2015年頃から始まった「伊豆高原メガソーラー計画」
12月7日に告示された伊東市長選はいよいよ終盤戦に突入しました。今回は伊豆高原のメガソーラー事業の現状についてです。
問題が表面化してから10年近くが経過しようとしていますが、いまも先行きが見通せない状況に住民からは心配の声が上がります。
伊東市の南部に位置し、海と広大な森が広がる自然豊かな八幡野(やわたの)地区。その八幡野地区で2015年頃から始まったのが大規模メガソーラー事業の計画です。
事業を進めていたのは外資系の企業で、約40ヘクタールの山林を伐採して、ソーラーパネルなどを設置する計画でした。しかし...
「本修正案に賛成の諸君の挙手を求めます。挙手多数であります。よって本修正案は可決されました」
2017年頃から地元住民の反対の声が高まり、伊東市は2018年、メガソーラー事業を規制する条例を制定しました。(条例:伊東市美しい景観等と太陽光発電設備設置事業との調和に関する条例)
メガソーラー事業を実施するために必要な複数の関係法令

計画されていた事業に対して、市は条例に基づき申請内容を許可しませんでした。それでも事業者は工事をあきらめず、市を相手取って裁判を開始。裁判の行方が見通せない中、市長選を前に八幡野地区の住民は不安を口にします。
<住民>
「市全体も反対の方向に向いていますので、当然行政の力を使って阻止をしてほしい」
<住民>
「なんらかの設備を作るということは、自然をどっかで破壊すること。伊東の良さというのは、山あり海あり、川もあること」
<住民>
「これから期日前投票してくるんだけど、やっぱりメガソーラー反対の人中心に選んでいきますよね」
そもそもメガソーラー事業を実施するためには複数の関係法令の許可が必要です。
八幡野地区のメガソーラー計画の場合、「林地開発の許可」「宅地造成の許可」「河川占用の許可」の3つが必要になっています。
このうち現時点で許可がおりているのは宅地造成の許可のみ。工事は事実上の停止状態となっています。
林地開発の許可権限を持つ県も、問題がクリアになっていない現状を冷静に見極めています。
「事業者と河川管理者との協議が済んでいない」
<静岡県森林保全課 和田直樹課長代理>
「林地開発許可制度においては、事業地から出てくる雨とか水を調整池等に、防災施設に作って、それを安全に河川に流さないといけない形になっている。(事業者と)河川管理者との協議が済んでいないので、現在審査がストップしている。滞っているような状態になっている」
宙に浮いたままのメガソーラー事業。県は今後、新たに選ばれる市長や事業者とも協議を進める必要性を感じています。
<和田課長代理>
「(関係法令の)変更許可にあたりましても、市長さんの意見を聞くことにはなっている。ただ、林地開発許可制度は、大体の法定の要件、審査基準を全てクリアすれば許可しなければならない形になっている。事業者がどうするかということの方が重要じゃないかなと考えている」
住民の関心も高い大きな課題をどのように整理し、解決に持っていくのか。
新市長は市民の安全と地域の将来を左右する難しいかじ取りを担うことになります。










