静岡県松崎町に、賀茂地区で初めて木製の治山ダムがつくられました。災害から地域を守るだけでなく、木を使うことで森林の環境を保つなど、多くのメリットが期待されています。
松崎町の雲見地区に2025年1月、完成した治山ダムです。役割は洪水などの災害時に土砂をせき止めて山崩れを防ぐことなどです。コンクリート製の本堤をバックアップする副堤には、静岡県産のスギやヒノキが使われています。木を切って使い、再び植える「循環利用」で二酸化炭素を吸収する森林の保全につなげます。
<静岡県賀茂農林事務所治山課 橋本有司課長>
「国立公園なので、景観を大事にしなければならない。土面に関して木でできているものなので、自然に見た目がなじむかなと」
木製のダムができたことを地元も歓迎しています。ダムの隣にある花沢園地です。一部は「ホタルの沢」とも呼ばれ、ホタルの観賞地として知られています。しかしー
<三島乾児カメラマン>
「松崎町の雲見地区を流れる太田川ですが太田川が氾濫し…」
2022年8月、台風8号が上陸し、雲見地区の太田川が氾濫。住宅約30棟が浸水するなど大きな被害に見舞われました。
<雲見温泉観光協会 高橋勝己会長>
「豪雨で土砂が流れてきて、元々は小川や水たまりがあったが、それが埋まってしまった」
ホタルの沢にも土砂が流れ込み、ホタルの数が激減。観賞会は2023年から開かれていません。
<高橋会長>
「どのくらいホタルが出るか分からないが、独自で見られるお客さんもいるので、見られるお客様のために、多少は安全管理で整備しようと思っている」
この沢で再びホタルが舞う姿を見たい。完成したダムが大きな力になります。
<高橋会長>
「しっかりしている。いいと思う。ちょうどこの上は高通山というハイキングコースがあるので、山歩きの方が多いので、『こういう木材を使ったダムがあるんだよ』というのを、移動の途中で見れればいいと思う」
木製の治山ダムは今後、子どもたちが森林について学ぶ場所にもなると期待されています。
静岡県は公共土木工事に木材を積極的に使っていて、木製の治山ダムは、今回のもので87基目。副堤のおよそ4分の1に静岡県産のスギやヒノキが使われています。