“災間(さいかん)を生きる”
齋藤さんが震災の経験を語り継ぐときのメッセージは、“災間を生きる”に収斂する。
災間とは、災害と災害の間。過去の災害を過去のできごとで終わらせず、次の災害のために何ができるか準備をする時間を我々が生きているという意味だ。

「防潮堤を造るとか、備蓄を確認するとか、そういう意味合いの備えだけでなく、僕は人材育成も備えだと考えています」
防災をきっかけに命と向き合い、人材を育てる
防災は「命と向き合う切り口」だと話す齋藤さん。防災をきっかけに命の意味を考え、命の大切さに気付き、命を守るために必要な準備をする。それが人材育成の大きな成果につながると期待する。

「命を守るためにできることを具体的に考えると、大きな災害が起きたときに決断し、行動することにためらいがなくなるんです。実践力のある人材が育つんです。僕はそう信じています」

防災をきっかけに命と向き合い、いざというときに行動できる人材を育てることで防災力につなげる。齋藤さんの脳裏に焼き付いているのは、震災に直面しながらも未来に進もうと成長し続けた生徒たちの姿だ。