ノックを始めた野球部「避難所でこれはだめだ」と思ったが…
ある日、野球部の生徒がキャッチボールをしたいと言ってきた。齋藤さんはそんな状況ではないだろうと思ったが、「キャッチボールくらいなら」と許可した。

すると、カキンカキンと大きな音がする。生徒たちはノックを始めていた。「避難所でこれはだめだ」とグラウンドに駆けつけると、避難所生活をしていた高齢者がすでに集まっていて、齋藤さんに声をかける。
『先生!子どもたちのこういう姿見られて本当に良かった。生きててよかった』
野球だけではない。生徒が避難者に「おはようございます!」と挨拶をしたり、食堂を使う順番を知らせに「次の班どうぞ!」と声をかけたりするだけで空気が変わるような気がした。

「医療や支援物資以上に、子どもたちの存在は大人の生きる力を生みます。不思議なんですが」