責任能力があるかどうかはどう判断するのでしょうか?

こうした事件の責任能力を判断する上での目安となる「7つの着眼点」というものがあります。
7項目は「動機に病気が影響したか」「犯行の計画性があったか」などです。矢口被告の犯行前後の行動に注目してみます。まず犯行前ですが、現場に凶器となる刃物を持っていったこと。また、犯行に使われた牛刀はホームセンターで購入していたことです。これは7つの着眼点のうち、「計画性」に該当する可能性があります。
続いて、犯行後です。矢口被告は現場から自宅へと逃走しました。さらに、犯行に使った手袋を焼いたりひげを剃ったりするなど、証拠隠滅を図っていたとされています。これらの行動も、着眼点の一つ、逮捕を逃れようとする「自己防御」に該当するとみられます。

こうした犯行前後の行動も判断材料になったのではないかと思います。今後は裁判員裁判が開かれます。
矢口被告は警察の調べに対し、「自分は中上流階級の人間」「社会復帰したい」などと話していますが、こうした言葉がどう動機に結びつくのかはわかっていません。
今後、同様の犯罪を防ぐためにも動機の解明は不可欠で、矢口被告が法廷で何を語るのかが注目されます。