薬物中毒で女性死亡 裁判所の判決は

27日、地裁松本支部で裁判員裁判の判決公判が開かれました。望月被告は、黒のジャージ、クレーのベストのマスク姿で出廷しました。

永井健一裁判長は冒頭で懲役8年の実刑判決を言い渡しました。望月被告の後ろ姿に変化はありませんでした。

判決理由で争点の3点の裁判所の判断が示されました。

最大の争点であった「殺意」については、「女性に飲ませた3種類の向精神薬は望月被告に処方されていたもので、まとめて飲むことの危険性は知っていても、女性が死亡する危険性を認識していたとは言えない。殺害の動機もない」として、殺人罪は成立せず、傷害致死罪を適用すべきとしました。

2点目の向精神薬の服用と死亡の因果関係については、「法廷で証言した解剖医の証言は信用でき、3種類の薬を飲んだことで死因になった」と認定しました。

もう一点の責任能力については、「被告が軽度の知的障害があったことしても、犯行時にはそれが犯罪だと認識していた上での犯罪だった」として責任能力はあったとしました、

その上で、懲役8年という量刑の理由について、施設職員として入所者を守るべき立場だったにもかかわらず、薬の効果について他人に飲ませて確認しようとしたことは悪質だ。また、施設の職員に薬を飲ませたことや立場を悪用し、入所者から100万円を超える金額をだまし取ったことも危険で悪質だと述べました。

最後に永井裁判長は「もう一度量刑を言います」と言って、懲役8年の主文を読み上げ、望月被告に「わかりましたか」と問いかけると、望月被告は無言でうなづき裁判は閉廷しました。