新たな専門店ができる一方で、昔ながらの味わいで地元に定着している店があります。

古畑キャスター:
「自然に囲まれた山あいの集落にやってきました。こちらに代々受け継がれるドーナツで店を営む菓子店があります!」

伊那市・長谷杉島(はせすぎしま)の奥原菓子店。


作っているのは、見た目はドーナツですが、中はあんこがたっぷり入った「ドーナツ万十」です。

代々受け継がれている、懐かしい味です。

奥原菓子店・秋山勝子さん:
「種を溶かしているところです。この中にお砂糖とか材料が入ってる」

作るのは2代目店主の秋山勝子さん86歳です。

奥原菓子店・秋山勝子さん:
「父親が手伝いに砂糖をいくら量れとか、そういうのを自分でちょっとメモして」

ドーナツ万十は勝子さんの父が販売を始めました。

勝子さんは、その父が亡くなった2年後に店を継ぎました。

奥原菓子店・秋山勝子さん:
「村長さんが、(秋山さんが)やらないなら、婦人会の人たちに作り方を教えてやってくれと、それを名物にしたいと言われたから、それするんだったら自分でやった方がいいかなと思って」

当時は、様々な菓子を作っていましたが、今は一番の人気商品だったというドーナツ万十だけ。

生地を伸ばして餡を包み、軽く揚げたら仕上げに砂糖をまぶします。

県内外の多くの客に愛され、60年以上ドーナツ万十一筋で店を続けているのです。

地元客:
よく来られるんですか?
「手土産に喜ばれるし、自分も食べるし、昔から食べて飽きない。このおかあの作るドーナツ万十おいしいです」


奥原菓子店・秋山勝子さん:
「おいしいと言って買いに来てくれなければ、どんな美味しい物を作っても何もならないから、(励みになるのは)お客さんの声ですね。心臓が動くまでは頑張ろうかなと思って」