無罪主張の元県議 妻殺害事件裁判詳報

妻を殺害した罪に問われ、無罪を主張している元県議会議員の裁判員裁判は、10月31日から、「現場の状況・痕跡」についての審理が始まりました。

検察側は「被告が金品目当ての物盗り犯に見せかける偽装工作を行ったと推認できる」と主張。

弁護側は、「妻が着ていたルームウェアから家族以外のDNAが検出されており、第三者による犯行の可能性がある」と反論しています。

双方の冒頭陳述をまとめます。

長野県塩尻市の元県議丸山大輔被告(50)は、2021年9月29日の未明、自宅を兼ねた酒蔵の事務所で、妻の希美さん当時47歳を殺害した罪に問われ、裁判で無罪を訴えています。

裁判の最大の争点は丸山被告が犯人であるかどうかの犯人性です。
(1)「被告人の所在・移動の状況」
(2)「動機」
(3)「現場の状況・痕跡」
(4)「事件前後の被告人の言動」
裁判は4つのテーマにポイントを絞り、審理が行われています。

「現場の状況・痕跡」検察・弁護側の主張は?

裁判は10月31日から3つ目のテーマである、「現場の状況・痕跡」についての審理が始まり、冒頭陳述では検察・弁護側の主張は真っ向から対立しました。

▼検察側の主張
偽装工作により、物盗り犯を装った丸山被告の犯行であると推認できる

▼弁護側の主張
現場の状況・痕跡は丸山被告が犯人であることを示すものではなく、第三者による犯行の可能性がある

【犯行場所・酒蔵】

現場となった酒蔵は広大な敷地に建物が多数あるうえ、迷路のように複雑な内部の構造になっています。

検察側は、「もし物盗り目的の部外者だとしたら物色に時間がかかり、迷いそうな深夜の酒造を侵入場所に選ばないのでは」と指摘。

暗がりの中で、迷わずに犯行場所の事務所までたどり着くことは難しいことから、「内部構造を把握している人の犯行」と主張しました。

一方、弁護側は、犯人が事務所に侵入した方法について、「繊維片などから、東側裏口のブロック塀を乗り越えて侵入したことは明らかだ」と主張。

丸山被告が「ここから侵入することは困難で、鍵を持っていることからその必要性もない。被告でなければ事務所へ到達することが困難ということではない」と主張しました。