長野県内の小選挙区で、立憲が3議席、自民が2議席と勢力図が塗り替えられた今回の衆議院選挙について、選挙担当の湯本記者に聞きます。
宮入キャスター:
今回の選挙、ふり返ってみてどんな特徴がありましたか?
湯本記者:
ひとことで言えば、派閥裏金問題をめぐっての与党・自民党の一連の対応が投票行動にも大きく影響したとみられます。
専門家の分析です。
信州大学・都築勉(つづき・つとむ)名誉教授:
「政治とカネの問題は発覚したのは半年も前のことなのに、ここにきてどんどん有権者の批判が強まったという印象。釈明すればするほどなんて言いますかね、その時あなたは何をしてたのという疑問に対する答えがもらえなかったので、そういう意味では、どんどん批判・不満が強まったのかなと思いますけどね」

信濃毎日新聞とSBCが共同で行った出口調査では、自民党の裏金問題への対応を評価するかどうかについて、「評価しない」人があわせて63%にのぼり、「評価する」の13%を大きく上回りました。
そもそも岸田政権時代の対応が支持率の低迷をもたらし、代わった石破総理が選挙直前に非公認などの対応を取りましたが、火消しにはなりませんでした。
後手後手に回った判断、そして非公認候補が所属する政党支部への2000万円の支給も有権者の批判を招く結果となりました。
実際に街の人にも受け止めを聞きました。
60代男性:
「やっぱり自民党が負けるのはしょうがないのかな」
「それ(政治とカネの問題)だけに終始した選挙になっちゃっていたからもうちょっと政策を訴えてほしかった」
60代女性:
「大丈夫なのかな日本はこれから。(野党が)勝ったからにはやるっていったことをやってもらわないと」
20代男性(選挙に行ってない):
「僕が勉強不足というのもあるんですけど、なかなか選挙に行ったところで変わるのかなって思っちゃって行けてないです」
20代男性(選挙に行ってない):
「変わらないよりは新しくなった方が何か起こりそうだなって気はするので期待したいです」
30代男性:
「裏金問題とかは(意識は)ありました。自民が嫌だったけど別に他ができるのかって言ったらできる気は正直していないので強いて選ぶなら…かなくらいのところなので期待半分、不安半分」
宮入キャスター:
投票率ですが、57.21%で、前回を2.56ポイント下回り、過去2番目に低くなりました。
湯本記者:
政権交代が起きた2009年は、投票率が75%を超えて、政治が変わることへの期待がありました。

しかし今回はそうはならず、特に特徴的だったのは、自民党候補者の裏金問題が取りざたされた1区と5区です。
投票率が前回を4ポイント下回り、反発よりも「政治離れ」を招いた状況が見て取れます。
宮入キャスター:
自公が過半数割れとなりましたが、今後はどのような点が注目されますか?
湯本記者:
街の声にもあったように、政治とカネの問題に焦点が集まったことで、デフレ脱却のために実質賃金をどうやって上げていくのか、岸田政権が決めた防衛費大幅増額の財源はどうするのか、また再稼働が進む原発は今後どうするのかといったたくさんの大きな問題があまり議論されませんでした。
今後の政権の枠組みは決まっていませんが、数の論理ではなく、国民全体の奉仕者という本来の視点に立って、しっかりと議論を交わすことが政治不信や無関心を克服する第一歩になると思います。