インドで遭遇した「言葉にできない怒り」とは

インドで見たのは、ヒンズー教の教えによる差別です。現在も国内の人口の8割を占めるヒンズー教では生まれながらに身分が決められます。いわゆるカースト制度です(【画像】で詳しく解説)。

そのカーストの一番下の階級にすら入れない「不可触民」と呼ばれる人々が激しい差別を受けていることを、佐々井さんはその解放に身を捧げた政治家・アンベードカルを通じて知りました。

その現状を目の当たりにした佐々井さんは言葉にできない怒りがこみ上げてきたといいます。

(佐々井秀嶺さん)
「不可触民は、動物以下の弾圧や迫害を受けていた。神と名がつくものは、人を助け、救うのが本当ではないか」

「不可触民」を身分制度のない仏教徒に改宗 暗殺の危機にも直面

不可触民を激しい差別から救済したい。のちにヒンズー教徒から命までも狙われる危険な行動に出ました。不可触民たちを身分制度がない仏教徒に次々に改宗させていったのです。

(佐々井秀嶺さん)
「我らが犯した罪を、様々な間違いを、お許しください」

暗殺の危機に直面しながらも信念を貫きました。50年以上の活動でインド国内で当時数十万人だった仏教徒は1億5千万人にまで増加。こうして佐々井さんは最高指導者となったのです。