インド政府も認めるインド仏教界の最高指導者が、岡山県新見市出身の男性であることをご存知でしょうか。彼の名は佐々井秀嶺(しゅうれい)。87歳の佐々井さんは、今年4年ぶりに日本に帰国し、1か月半をかけて全国各地を講演して回りました。
その佐々井さんは如何にしてインド仏教界の頂点に登り詰めたのか。それは「自らの弱さ」「差別への怒り」など、あらゆるものと闘ってきた歴史でもありました。
(前編・後編のうち後編)
「酒や女に溺れ、3度の自殺未遂」の自分を変えた、インドでの出会いそして闘い

インド中央部の都市・ナグプール。数十万もの群衆の中心に立つのは、新見市出身の佐々井秀嶺さんです。

佐々井さんは、インド政府少数者委員会の仏教徒代表も務めた、インド仏教界1億5千万人の頂点に立つ最高指導者です。ここに至るまでに佐々井さん自身、多くの闘いの歴史がありました。

新見市で生まれた佐々井さん。若い頃は酒や女に溺れ、自殺未遂を繰り返しました。「弱き自分自身との闘い」...当時、浮浪者同然の現状を打破したいと、25歳で出家しました。

その後、留学先のタイでも恋愛関係がもつれ、32歳の時に逃げるようにインドへと渡ります。そのインドで、佐々井さんの運命を大きく変える出会い、そして新たな闘いが待っていました。