画家を志しながらも戦地に送られ亡くなった学生の作品を収蔵する美術館が、長野県にあります。「無言館」その作品の一部が今、瀬戸内市で展示されています。約30年にわたり収集を続けてきた80歳の館主の男性は、「画学生の『魂』ともいえる作品を埋もれさせてはならない」という強い思いがありました。

■戦地に散った「画学生」が遺した絵画

23歳の若さでミャンマーに散った一人の画学生。可愛がっていた妹を描いた絵が遺されています。出征の朝も、スケッチブックは広げたままでした。

可愛がっていた妹
描いた兄は、ミャンマーの戦地に散った

(来場者)
「戦争が済んでから70数年。それと同じことを今現在やっている。考えられない。」
「ウクライナの中には絵を描きたい人がいますもんね。音楽をしたい人もいるし。本当に戦争は悲惨だなということを改めて感じた。」

戦争で命を落とした画学生47人の絵が集まった


瀬戸内市で展示が始まった47人の若者による作品には、作者の家族や恋人などが描かれています。

「画学生たちは、自分が愛したものを描いた」


(無言館 窪島誠一郎 館主)
「絵は夕焼けでも花でも人でも、描く相手を"愛して"いないと描けないんです。これは絵の特質です。憎んでいたら描けないんです。描こうとしている絵と描いている人間とのデートの時間なんです。」

遺された、画学生たちの絵の具や絵筆

画学生たちは、絵筆を銃に持ち替え
戦地から戻ってくることはなかった

1941年に始まった太平洋戦争。美術を学ぶ学生も、絵筆を銃に持ち替えさせられました。

画学生の作品を収集し続けているのが、窪島誠一郎さんです。全国の遺族のもとを渡り歩いて作品を集め、美術館を設立しました。「無言館」…言葉はなくとも伝わる思いに触れ見る者は静かに思いを馳せます。