増え続ける “ヤメ暴” 「なかなか雇ってもらえない」現実
(記者リポート)「事件はこの規制線の奥、住宅街の中で起きました」

去年10月、岡山市で起きた銃撃事件。指定暴力団・池田組の組長を対立する六代目山口組が狙ったとみられています。
いまだ続く、山口組の分裂抗争。衝突が続く一方、実は警察の厳しい取り締まりなどで、組員数は過去最低を記録。暴力団を抜ける、いわゆる「ヤメ暴」が増ています。ただ、その受け入れ先はいまだ十分ではない、という現状があります。

警察庁によりますと、1991年には暴力団員は全国で「9万人以上」いましたが、翌年に暴力団を厳しく取り締まる法律=暴対法が施行されたことで、暴力団の収入は減り、組員の数も減少しています。現在はかつての「3分の1以下」になったものの、同時に「受け入れ先」が課題となっています。多くの「ヤメ暴」が定職に就けず、再び罪を犯すケースが後を絶たちません。
そんななか再犯を防ぐために「ヤメ暴を積極的に雇用する」岡山県倉敷市の企業に密着しました。自身も「ヤメ暴」である経営者の願いと、社員の思いを取材しました。

「ヤメ暴」を雇い続ける 自身も「ヤメ暴」の経営者
今も体に残る、暴力団員だった過去。
(アザミ 渡邉賢治社長)「組にいた時には、胸にも刺青が入っていました。僕は後悔していないです、好きでやっているもんだから。見てください、後ろも…」(【写真】参照)

岡山県倉敷市の建設業・アザミです。この日、塗装の技術を社員に教えていたのは、かつて暴力団員だった男性です。社員15人の中には、同じヤメ暴がいます。

(元暴力団員の40代男性)「元暴力団員です。所属したのは15年くらい。服役は6回しています」
(元暴力団関係者の20代男性)「傷害とか窃盗で、逮捕歴でいったら10回以上あるんじゃないですかね。バカだったなって思いますね」
2009年の会社設立以来、行政と連携して犯罪歴のある人を積極的に雇用する「協力雇用主」となり、これまで4人の元暴力団員・関係者を受け入れてきました。

(アザミ 渡邉賢治社長)「就職は、なかなか雇ってくれないんじゃないですかね。でも社員として受け入れてあげたら、みんな真面目に更生するんじゃないかなと」