瀬戸内国際芸術祭は、12の島と2つの港を舞台に開催されています。そのうちの一つ、高松市の大島にある作品には強い思いが込められています。アートを通して心に刻んで欲しいのは「忘れてはならない」差別・偏見の歴史です。

作品には、込められた思いがあります。


タイトルは「木製便器の部屋」。ある男性の悲しみに満ちた人生を形にしたアートです。

瀬戸内国際芸術祭の会場の一つ 大島(高松市庵治町)


高松市の庵治町沖に浮かぶ大島です。瀬戸内国際芸術祭の会場となっているこの島に、船が着くたび多くの人が訪れます。

「入所者の思いが込められた」作品


この島に展示されている作品の多くが伝えるものは、国の隔離政策が産んだハンセン病への誤った「差別・偏見」の歴史。作品一つ一つに入所者の思いが込められていると、芸術祭の案内をするこえびネットワークの笹川さんはいいます。


(こえびネットワーク 笹川 尚子 さん)
「この船は大島に唯一残っていた木造船で、入所者が実際に使っていた船なんです。昔は逃走防止のために船を持つことは許されていなかったんですけど、船に乗っている時間はハンセン病のことを忘れることができたということで」

展示は、全国で唯一の離島にある国立ハンセン病療養所に


作品が展示されているのは、かつてハンセン病で隔離された人々が暮らしていた場所。芸術祭の舞台、大島は全国で唯一の離島にある国立ハンセン病療養所です。

(こえびネットワーク 笹川 尚子 さん)
「この島の歴史やハンセン病のことを伝えたい、伝えてほしいという思いは、島の入所者の希望でもあるので」

今も療養所で40人が暮らすが
新型コロナで島外の人たちとの交流は途絶えてしまった


今も40人のハンセン病回復者が暮らす大島青松園。以前は見学に訪れた人に島の歴史を伝えてきましたが、新型コロナにより外との交流は2年間途絶えています。

そんな今だからこそ「芸術祭が大きな意味をもつ」と、島で70年暮らす野村さんは考えています。

だからこそ瀬戸内国際芸術祭が大きな意味を持つ


(ハンセン病回復者 野村 宏 さん)
「一生この島に閉じ込められてしまったよ。今の子どもたちは全然そういうことも知らないでしょう。だから施設見学もなくなってしまったけど、やっぱり見てもらったら一番よくわかるし、そういう意味で大きな意味があるのではないかと。」