「個体は遺伝子の乗り物である」

東洋産業 大野竜徳さん
「たとえば、約50年前に出版されたリチャード・ドーキンス著『利己的な遺伝子』という本があります。

有名な本で、いろいろ議論もある部分がありますが、今でも参考になることがある本ですね。この本の一説にある考え方では『個体は遺伝子の乗り物である』というものです。つまり、遺伝子は時代を超えて生き残りたい。

そのために遺伝子は私たちという個体を介して次世代へと受け継がれていく…という見方です。もちろん、遺伝子に意思があるわけではありません。

また、進化や絶滅は生き物が『成功』や『失敗』して起こった結果ではなく、たまたまその時の環境に合致したかどうかの結果にすぎません」

「たとえば、キンモクセイが雄株ばかりで今も生き残っているのは、たまたま現代の人間社会という環境にうまく合致した結果なのだと思います。遺伝子はうまく個体を乗り継いで生き残っています。

そして遺伝子が接ぎ木でも伝わっているなら、それが品種改良や人の手を介して、ということがあったとしても生物としてうまく進化して成功している、と言えます」