子どもを持つことを許されなかった女性から「お母さんって呼ばないで」と…

(「胸の泉に」より)
「かかわらなければ胸の泉に枯れ葉いちまいも落としてはくれない」
沢さんも最初はハンセン病のことをほとんど知りませんでした。なぜこの人はこの島にいるのか、どんな人生を歩んできたのか、ひもときながら、かかわりを深めてきました。それゆえに傷つき、傷つけてしまったこともありのままに書きました。
(沢知恵さん)
「その当事者になれないというジレンマですよね。山本千沙子さんという、数年前に他界されましたけれども、『私をお母さんって呼ばないで』っておっしゃったんですね。ぽつりと。それ以上何も言わない」

「私は平気で『大島のお父さん、大島のお母さん』って言って。喜んでもらえると思ったし。山本千沙子さんは子どもを持つことは許されなかった。断種堕胎の手術でね(※かつてのハンセン病患者に対する国の政策)。
その経験をされた方にとって『お母さん』という言葉の重みというか。その悲しさ。を、(当時の)私は想像できなかったですね」











