都市部と地方では状況が全く違うのに...
岡山市中区のヘルパーステーション・レインボーです。「高齢者に寄り添ったサービスを提供する」をモットーに、28人の介護職員が161人の自宅を1軒1軒回って暮らしを支えています。
ー1日で多くて何軒回る?
(ヘルパーステーションレインボー 介護職員)
「私は最大5軒までです。だいたい1軒目に行かせていただいて、2軒目に行く時に『トイレ休憩7分間くらい』」
ー分刻みなんですね
(介護職員)
「割とそうですね。時間通りに進まないと」
岡山市内で暮らす高齢者らを、20年近く支えている訪問介護事業所。ただ、その経営状況は芳しくありません。

(ヘルパーステーションレインボー管理者・サービス提供責任者 木村教代さん)
「何とか経営は継続しているんですけど、10年以上ですね。もう赤字経営ですね」
地方では特に車を使い自宅を訪問するため、都市部と比べガソリン代や駐車場代などの経費が多くかかります。レインボーでは「物価高」「コロナ禍」などで赤字が続き、2019年度からの平均赤字額は約1千万円に上るといいます。
(ヘルパーステーションレインボー管理者・サービス提供責任者 木村教代さん)「私どもは、法人です。赤字のところは、黒字の方が補ってくれているので何とか経営は継続しているんですけど、個人でやられている事業所は『倒産』いう形で経営をやめてしまうところあります」
相次ぐ倒産 困るのは訪問介護サービスを受ける人たち
東京商工リサーチの調査では、2023年、全国で67件の訪問介護事業者が倒産。このうち「従業員が10人未満」の規模の小さい事業者が8割が占めています。そこに「報酬改定」が追い打ちをかけたのです。
事業者の収入源である「介護報酬」が引き下げられれば、もう経営が成り立たない…報酬改定は、地方事業者の倒産を加速させるのではと話します。
(ヘルパーステーションレインボー管理者・サービス提供責任者 木村教代さん)「誰もが『在宅で住み慣れた地域で生活したい』という気持ちを支えるのが、訪問ヘルパー。将来的に自分が年をとった時に『お金がないと介護ができない』という状態なので、ちょっと厳しい時代になってきているなとは思ってますね」
都市部と地方、経営状況が二極化しています。

【解説】
(春川正明コメンテーター)
「この問題を考えるうえで、キーワードの一つが『地域包括ケア』という考え方なんですね。厚生労働省が中心に全国で進めているんですけれども、意味は『可能な限り、住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けるようにというケアシステムを作ろう』ということで、全国に地域包括センターもあるんですね」
「介護を経験したことがない人が最初に相談するのが地域包括ケアセンターで、これを地方中心に地道の支えているのがきょう取り上げた訪問介護の人たちです」
「介護制度はできて14年ぐらいになるんですが、実際に支えているのは小規模の事業者なんですね。そこの人たちへの報酬が下がってしまう、これはとっても大きな問題だと思います」
(取材した坂井亮太キャスター)
「都市部と地方で経営状況が二極化していますから。国には持続的な介護サービスを受けられるためにも現場の声に耳を傾けていただきたいと思います」