訪問介護サービスだけがなぜ「報酬減額」なのか?

(武見敬三 厚生労働大臣)
「介護事業経営 実態調査における『サービス収支差率』はご指摘の通り7.8%。それから、介護サービス全体平均の2.4%に比べて相対的に高いことなどをふまえました」

厚労省は、「訪問介護サービス」の報酬減額の理由として「ほかの介護サービスより利益率が高い」ことを挙げています。一体どういうことなのでしょうか。

2024年度の介護報酬の改定。国が「訪問介護サービスだけを減額した理由」として、「平均の利益率が7.8%と他のサービスと比較して高いこと」を上げています。

高利益の要因のひとつに挙げられるのが、都市部などの大きな事業者が運営する「サービス付き高齢者向け住宅」です。

「サービス付き高齢者向け住宅」は、介護事業所が併設され、食事や掃除などのサービスが提供可能なマンションのことで、「サービス付き高齢者向け住宅」も職員らが自宅を訪問する「訪問介護」のひとつです。

職員の移動コストが削減され、高い収益性があげられれます。また、都市部では利用者が密集しているので、「自転車移動で楽に訪問が可能」ということも挙げられています。

こういった住宅を運営する都市部の大きな事業者が、主に黒字経営になっていると言われています。

一方で、厚労省の新たな調査によりますと、「訪問介護事業者の4割近く・36.7%が赤字経営」だということが判明しました。その多くが、地方の1軒1軒の自宅を回る中小・零細事業者です。