ここ数年で熊本県内に住むベトナム人は増加傾向にあります。
その要因のひとつが熊本地震の復興関連工事です。ベトナム人の方々が人手不足が続く建設業や、農業、製造業を支えているんです。
今、彼らの故郷ベトナムの味が、熊本でも身近なものになりつつあるようです。

9月3日に熊本市の大学で開かれた「国際スポーツ交流会」。
県内に住む東南アジア出身者を中心に、300人以上がサッカーやバドミントンで汗を流しました。
参加者の中でも半数近くを占めたのがベトナム人。今、県内に住む外国人約2万人のうち、親日家が多いと言われるベトナム人は約6000人と全体の3割を占め、最も多くなっています。

お昼時、彼らが頬張るのは日本に馴染みがない料理のよう。
ベトナム人参加者「ベトナムのバインミーです、うまいですよ!Ngon!(ベトナム語で『おいしい』の意味)」

フランスパンに肉や野菜をたっぷり挟んだベトナムのサンドイッチ。
熊本市内の専門店で作られたものです。
いま、県内でこのようなベトナム料理を扱う店が増えています。
熊本市中心部を歩くと、約1キロの間に3店舗。そのすべてが3年以内にオープンした店です。

ベトナム料理店の一つ『フォーリーコックス熊本店』では、ベトナム料理の代表格でつるりとしたコメの麺料理「フォー」が大人気です。
熊本市から「YouTubeでベトナムの動画を見て、『日本人の口に合う味』って言ってたので気になって来ました」
ベトナム人客「熊本で働いているのでたまにベトナムの料理が食べたくなる」

近年、国内企業が人手不足ということもあり、熊本にやってくる若者は増えています。そのため、ベトナム料理店には日本人だけではなく、故郷の味を求める人にも人気のようです。
ベトナム食品の店もオープン、故郷の味を熊本で
「お電話ありがとうございます…」

チャン・ティ・バオ・チャムさん(28)。6年前、留学のためベトナムから熊本を訪れ大学を卒業後、熊本市の会社に就職しました。
会社では和食を中心とした弁当を食べていますが、自宅ではベトナム料理を作るといいます。
食材の買出しに同行させていただくことに。

チャンさんの料理を支えるのは、去年オープンした熊本市のベトナム食材店。
一般的なスーパーでは見かけない現地の食材が並びます。
チャン・ティ・バオ・チャムさん「よく買うのは定番のインスタントラーメンやコーヒー」

チャンさんが熊本に来た頃はこのような店が身近になく、思うように故郷の味が作れない状況でした。
チャンさん「(最初は)すごくベトナムの料理が食べたくてしょうがなかった。最近はお店が増えてきてすごく嬉しい、食べたいと思ったら気軽に買い物できる」
お店の冷凍庫の中には…なんと食用のカエルが!

鶏肉に近い淡白な肉質で、ピリ辛の調味料で炒めるとビールのお供に最高なんだとか。
そして、日本の「醤油」のようなものが…塩漬けにした魚介類の発酵調味料「ナンプラー(ベトナム語で『ヌクマム』)」です。
チャンさん「無くてはいけない調味料です。大体なんでも入れると思います、野菜炒めとか、スープとかにも」

ナンプラーを使った煮込み料理の作り方を見せてくれました。
鶏ガラやナンプラー、胡椒で下味をつけた豚バラ肉を、事前に砂糖を煮詰めた鍋で15分ほど煮込みます。

チャンさん「おいしいです。豚の甘味とナンプラーの甘味、大根の甘味が混ざって素晴らしい味になりました」
熊本県内で進む食の国際化。
日本から約3800キロ離れたベトナムの味が、今では身近な存在になりつつあります。貴方も新たな「おいしい!」を探してみては?
