夏祭りのイベント、といえば「お化け屋敷」ですよね!(異論は認めます)
子どもの頃に度胸試しに行ったものの、結局怖くて泣きながら帰った経験がある人もいるのではないでしょうか。
そんな夏の肝試しイベントが、熊本県人吉市では「お化け屋敷」ならぬ「ゆうれい屋敷」として人気を集めているんです。
舞台はなんと”本物の墓場”。4年ぶりの開催となった大人気祭りを取材しました。
なぜ「ゆうれい祭り」?

熊本県人吉市の永国寺(えいこくじ)。
500年以上前に、当時の和尚が寺に現れた幽霊の姿を描いたとされる「幽霊の掛け軸」が有名なお寺です。別名「幽霊寺」と言われています。
8月5日、年に一度の「幽霊の掛け軸」の一般開帳が行われました。

この「幽霊の掛け軸」をきっかけにはじまった、約50年前から受け継がれる祭りがあります。
その名も「ゆうれい祭り」。
メインイベントは、長蛇の列ができる「ゆうれい屋敷」です。

お客さんに話を聞いてみると「4年ぶりの一大イベント」 「久しぶりに人が多い祭りを楽しめれば」といった声が。
7月30日、祭りの一週間前。
地元の消防団が中心となって準備をすすめます。

ゆうれい祭り 町田淳一 実行委員長「4年間できていなかったから、今年はメンバーもやる気マックスです」
中心メンバーがやってきたのは竹林、ここで祭りの飾り付け用の竹を伐採します。
そして、知り合いからも「つる草」などの材料をゆずってもらうそう。

この祭りは補助金に頼らない運営のため、会場はほぼ自分たちの手作りです。
そして8月5日、ゆうれい祭り当日を迎えましたが…。
--どうですか進捗状況は?
スタッフ「ちょっとぎりぎりです」
開場の1時間半前、急ピッチでゆうれい屋敷の設営を進める一方で、ゆうれいのメイクに余念がないのは、ボランティアで参加する地域住民達です。

赤いワンピースを身にまとい、血の気の引いた白い肌、目の周りは血だらけ(のメイク)。夜道で絶対遭遇したくない姿…の女性に話を伺うと。
「自分たちも楽しめば、ゆうれい屋敷に来た子も楽しめると思って」

幽霊役は今年で3回目。会場へはゆうれい姿で運転してきたとのことで、楽しむ気持ちも、やる気も充分です。
続いては幽霊役8回目のベテラン、頭には角が生えており、衣装は黒い着物のよう。
「平安時代の山姥です。普段はメイクアップアーティストです」

プロのメイク技術でさらに怖さが増し、襲ってきそうな山姥をリアルに表現しています。
この方々は通称「ガチ勢」と呼ばれる常連で、久しぶりの幽霊姿に気合も充分です。

中村久典さん「きのう、おととい会場を見に来たときにちょっと見た目が寂しかったので、お札(ふだ)かなと思って」
肩の近くに刀が突き刺さった状態で登場したのは、人吉市内で飲食店を経営する中村さん。彼も「ガチ勢」の1人です。

持参したお札を入り口付近に貼ってまわります。このお札、中村さんのお手製なんだとか。
中村さん「3年間夏が来ていないと言えるくらい、この祭りをめっちゃ楽しみにしていた。すべては子どもたちが喜んでくれればという思い。私がまだ子どもの頃、ゆうれい祭りに来ていたが怖かった。いまだに思い出となって残っている」

お札も貼り終わり、準備万端。「ゆうれい祭り」開幕です。