患者の負担軽減のために
アメリカでは、スタンプ型ワクチン接種器の開発に採用され開発がすすむ一方で、国内では6年前から熊本大学と共同で医療機器の開発を行っています。

熊本大学大学院先端科学研究部 佐々木誠 特任准教授「『あつまる山鹿シルク』は国内で唯一の医療グレードのシルクというふうに言える。とにかく安全性が高い材料ですので、体のありとあらゆるところに使えるような医療機器に応用できるんじゃないかな」
注目されているのはシルクに含まれるタンパク質。肌になじみやすく、スキンケア商品にもなっています。
なかでも「シルクフィブロイン」という繊維状のタンパク質は、人体になじみやすく、水分に触れると溶ける性質があります。

そこで、その特徴を外科手術後に使う「癒着防止シート」の新素材として活用できないかというのです。
手術のあと、損傷した組織は回復する過程で別の臓器などに張り付いてしまう「癒着」という現象が起こりやすいそう。
一般的な手術では専用のシートなどを使い、癒着を防いでいます。

この癒着防止シートが「シルクフィブロイン製」になれば患者の身体への負担軽減が見込まれるといいます。
現在、癒着防止シートの実用化に向けて実験が繰り返されています。

佐々木特任准教授「患部で癒着を防いだあとに分解させないといけない。適切な時間の調整が難しい。温度一つでも変わる、最適な状態に近づけることが必要になる」
癒着防止シートのほかにも、様々な形状の医療機器を開発中だそう。

島田社長「シルクのタンパク質のマーケットはこれから伸びていくし、それを求めてくる企業も増えるだろう」
世界トップクラスの品質を誇る「山鹿産シルク」。
世界市場を見据えて、進化は続きます。
島田社長は「カイコの持つ可能性は無限大だなと」