中古車販売大手「ビッグモーター」による保険金不正請求が問題となっていますが、今年3月、車検の不正行為で熊本の店舗が行政処分を受けていました。当時の記事を再公開します。(初出:2023年3月28日)
58台の整備記録に虚偽記載
九州運輸局は、熊本市にある大手中古車販売会社「ビッグモーター」の店舗が、車検の一部を実施せずに車両を合格させていたとして、行政処分しました。
行政処分を受けたのは、熊本市中央区にある『ビッグモーター熊本浜線店』です。

九州運輸局によりますと、ビッグモーター熊本浜線(はません)店は、少なくとも2020年12月以降に車検を実施した車両のうち58台について、スピードメーターの誤差を確認する検査を行っていないにも関わらず、整備記録に虚偽の記載をして、適合証を交付していたということです。
2022年12月から熊本運輸支局が行った監査で問題が発覚し、九州運輸局は3月22日付けで適合証の交付に必要な指定自動車整備事業の指定を取り消しました。
あわせて不正行為に関わったとされる自動車検査員2人の解任命令も出しています。

なお、車検を行った車両に関する書類の保管期間は2年間と法律で定められているため、それ以前の整備状況については不明です。
「虚偽を記載」スピードメーターの検査とは?
記者の解説「実際の速度とメーターの表示が一致するかを確認する検査で、車の駆動輪=アクセルを踏んだ時に動くタイヤ2つを速度計に乗せて行います」

--検査はそんなに大変なんですか?
「車には前後どちらかのタイヤが動く2輪駆動と、前後がともに動く4輪駆動、いわゆる『4駆』があります。このうち4駆の検査では、計測しない2つのタイヤにローラーをつける作業が必要になるほか、一部の外国車などは特殊な方法で計測する必要があるそうで、そうなると2輪駆動の車よりも検査に時間がかかるそうです」

「ちなみに検査が行われなかった58台は、全てが4駆や外国車などだったということです。検査の手間が今回の不正行為に影響したかもしれない、ということですね」