「ただ がむしゃらに」

互いに肩を組み横一列に並んだロアッソ熊本の選手たちは、ゴール裏応援席の方を向き耳を澄ます。

「オー、オオオー」

スタジアムには太鼓の音とともにサポーターの歌声が響き渡る。

歌っているのは「HIKARI(ヒカリ)」という名の応援歌。

原曲は、熊本市出身の歌手・水前寺清子さんがロアッソ熊本応援イメージソングとして歌った「HIKARI~輝く未来へ~」

「ただ がむしゃらに 負けても くじけずに歩いた者にだけ 見えてくる」

背中を押してくれるような歌詞が印象的だ。

2009年に制作され、ロアッソ熊本のスポンサー企業のCMソングにも使われたほか、2010年1月に配信限定でリリースされている。

それ以来、試合前にサポーターがチームを鼓舞するために歌い、選手たちはじっと聞き入って闘志を燃え上がらせる。

ロアッソ熊本の応援文化として根付いている光景だ。

熊本県大津町出身でトップチーム在籍11年目の最古参DFの黒木晃平(33)はこう語る。

「テンションが上がる。みんなも言っているが『よっしゃ、今日もやるか!』という気持ちになる」

「HIKARI」の合唱は選手たちのスイッチが「ON」になる瞬間だと。

DF 黒木晃平

この選手にとっても欠かせない”日常”が、突如として奪われた。

新型コロナウイルスの感染拡大だ。