煮ても焼いても消えない “カビ毒”

「鏡餅についたカビ、包丁で削れば食べられる」という説がありますが、専門家の見解はシビアです。

尚絅大学 前渕元宏准教授

尚絅大学 生活科学部 前渕元宏准教授「鏡餅は文化の側面がありますが…。健康を最優先するなら、カビが生えた部分は潔く廃棄したほうが良いです。カビは植物のように、根っこ(菌糸)を生やしています。菌糸が食品の奥深くまで伸びて、残っている可能性があります」

さらに恐ろしいのが、カビが作り出す「カビ毒」の存在です。カビは表面だけでなく、菌糸を食品の奥深くまで伸ばして増殖します。その過程で、代謝の副産物として作られるのがカビ毒です 。

前渕准教授「カビ毒は何百種類もあり、症状(人体への影響)も様々です。すぐ症状が出るものもあれば、食べてすぐには分からないけれど、長期的に体に悪影響を及ぼすものもあります。そして厄介なことに、多くのカビ毒は非常に『熱に強い』という特徴があります

つまり、正月の鏡餅を「カビた部分を削って、雑煮や焼き餅にする」というのは危険。カビそのものは死滅しても、毒性物質は分解されずにそのまま残っている可能性があります。